11月25日 秋晴れの中、農林水産省主催の「料理マスターズ」授与式に続いて、料理マスターズサポーターズ倶楽部主催の受賞者記念式典が盛大に執り行われた。
ANAインターコンチネンタルホテルにて
料理マスターズ授与賞及びメダル・バッチ
会場入り口に設置された制度概要と受賞者紹介ボード
当日は、評議員、食のオフィシエ、農水省、経済産業省、観光庁、都道府県庁関係者、協賛企業関係者、生産者を含む受賞者関係者の約200名が集まった。また、マスコミ各社(TBSテレビ等TV13媒体、新聞21媒体、雑誌10媒体)が詰めかけた。
- 料理マスターズサポーターズ倶楽部事務局長挨拶
まず、主催者あいさつとして、料理マスターズサポーターズ倶楽部事務局長高橋喜幸より挨拶。 サポーターズ倶楽部は「料理マスターズ」制度の趣旨に賛同する民間企業会員と、受賞した料理人である受賞者会員とで構成される。両者にとって本倶楽部が新たな出会いの場となることを望む、との抱負を語った。
松木けんこう 農林水産大臣 政務官
鹿野農林水産大臣に代わり、松木けんこう農林水産大臣政務官より祝辞を頂いた。今回の受賞を機に日本の食文化の発展に向けて業界のリーダーとして、生産者などとの取り組みをさらに進められることに大きく期待し、また、官民一体となって本制度を盛り上げていくことへの意義と期待についても述べられた。
審査委員の方々
審査委員の方々の紹介(左から)榊原英資・審査委員長、犬養裕美子、北岡尚信、重田秀豪、辻芳樹、西川恵、服部幸應、道場六三郎の各審査委員(小泉武夫、小山薫堂、仲野隆三の各審査委員は欠席)(敬称略)
第1回 料理マスターズ 受賞者
いよいよ受賞者の登場。
サーチライトが照らされ、一瞬の緊張が走るなか、受賞の栄光を大きな拍手をもって称えられ、一人ひとり壇上へ。
榊原英資 審査委員長
榊原審査委員長より総評
榊原英資審査委員長より審査総評を頂く。世界一食材に恵まれた森と水の国、日本。それぞれの地域にそれぞれの旬の食材が存在する。この恵みを生かし、「食」と「農」をつなげていくことが、日本の食文化の発展の鍵。今回選ばれた料理人は、まさに、そのような活動が認められた。彼らには、日本の食文化の誇りを感じるとともに、更なる発展を期待したい、と評された。
赤松広隆 元農林水産大臣
赤松元農林水産大臣は、本制度を創設した当時の農林水産大臣であり、創設に当たり大変に尽力された。制度の立ち上げ者でもあることから、本制度に関わった全ての方々に向けての素晴らしいメッセージを送られた。
乾杯
赤松元農林水産大臣により乾杯のご発声を頂き、歓談へ。
審査員による受賞者紹介
「ル ゴロワ」 (東京) 大塚 健一氏と北岡審査委員
北海道食材にこだわっての活動が認められた今回の受賞は、自身と心が通い合う生産者の、そして心の支えとなっている最大の協力者であるマダムへの想いに応えること、その他者を思いやる相互の愛情によって実を結んだ結果である、と北岡氏。そのコメントに対して自身の想いを述べる大塚氏。
「アル・ケッチァーノ」(山形)奥田政行氏と榊原審査委員長
庄内への感謝の気持ちを述べる奥田氏
榊原審査委員長との軽快な掛け合いのなか、何故、庄内でこんなにも愛され、何故、こんなにも庄内への恩返しをしようと頑張っているのか。奥田氏は、地元の農業を元気づけ、夢を持てるような場所にする、そこで育みあう関係を築き上げることが大事だと言う。本制度の大きなねらいである「食」と「農」をつなげることへの成功の鍵が示されたような一幕。
「オトワレストラン」(栃木)音羽和紀氏と西川審査委員
「オーベルジュ」「オトワレストラン」「デリカショップ」「オトワキッチン」と様々な展開をみせる音羽氏にそのねらいについて質問する西川氏。ブッラスリー、プレステージレストラン、デリカとそれぞれの楽しみ方をして欲しいと、音羽氏。後継者育成にも力を注ぐ音羽氏の今後の展開が楽しみだ。
「かさね」(東京)柏田幸二郎氏と道場審査委員
人と人とのふれあいを重ね、四季折々の味を重ねる、これが「かさね」のテーマである。全国各地の旬の食材を使い、試行錯誤を重ね、高い技術力と独特の四季への想いから生み出される創造性が道場氏より高く評価された。今後も東京から様々な美味しい食材の情報発信をしていきたい、と抱負を語る柏田氏。
「職人館」(長野)北沢正和氏と犬養審査委員
「おれはなんもできねぇ。生産者が食材を作ってくれなければ、おれはただ包丁で空を切るしかない」。地元の生産者とともに歩んできたことが高く評価された。料理を作るだけにとどまらず、食材の生産者を含む全てを、自身の住まう土地で作り上げてきた。自身を長野の山里の山猿と呼び、審査委員の犬養さんとは、「犬猿の仲ではない」と、笑いを誘う一幕も。
「辺銀食堂」(沖縄)辺銀暁峰氏と重田審査委員
今回の受賞は総じて奥様の力添えによるところが多い。「石垣島ラー油」も奥様愛理さんのレシピをもとに考案したもの。重田委員の勧めで愛理さんも壇上へ。二人の言葉には90歳以上になる島の「おじい」「おばあ」への感謝の気持ちが込められていた。なかなか手に入らない事で有名な「石垣島のラー油」であるが、その希少価値について再認識させられる場面であった。
「カハラ」(大阪)森義文氏と辻審査委員
100品目以上の、市場に出回らない食材を積極的に紹介し、60種類以上を安定供給できる状態へと導いた功績が高く評価された。新しい味覚をどう印象に残すか、五感を使った細部にまでこだわるプレゼンテーション能力は人々に驚きと感動を与える。辻審査委員による力強いコメントが功績の素晴らしさを裏付ける。
インタビュー応える森氏
取材に応じる辺銀氏
ゲストと意見交流をする音羽氏
北沢氏の生産者の姿も。無農薬農法の第一人者である、ゆい自然農園の由井氏、佐久市議議員の伊藤氏。
「かさね」の柏田氏、女将を囲んで
中村農林水産省総合食料局次長、榊原審査委員長、茂木キッコーマン会長、高橋総合食料局長、今野日本食糧新聞社社長
犬養審査員、三國清三シェフ、平田薫さん
"「食」と「農」をつなぐ"をテーマにコーディネータに犬養氏、三國清三シェフとNHKドラマ「農ドル」にて主演を努めた女優の平田薫さんを交えてトークショーを行った。犬養氏より、「食」と「農」をつなげることは料理人にとって当たり前の事のように思われがちだが、地道に続ける事は実は難しい。今回の「料理マスターズ」制度は、料理人が、生産者である「農」と、自身の料理である「食」を繋げて一つの世界を作り上げた、それを国が評価した事に大きな意味があると感じている、と述べられた。その事に対し、三國シェフからも、今回の制度は国が料理人を評価しそれによって、料理人の地位が向上する事に大いに期待。また、是非、地域が彼ら、受賞した「料理マスターズ」をヒーローにする、そういった仕組みを考えていって欲しい。今、世界は大量生産ではなく、いいものを少しずつ、素材ありきが主流。食材がクローズアップされてきている。だからこそ、料理人は生産者と向き合う事が大切。畑から料理が始まっている、と「農」と「食」をつなげることの大切さを述べられた。若い世代を代表して平田さんは、全ての人々に向けて「いただきます」と感謝する心を持ち続けていきたいと語った。
堺市長より記念品の贈呈
「先導者としての活躍に期待」と中締めのお言葉を述べられる 茂木キッコーマン株式会社代表取締役会長兼CEO
受賞者同士の親交も深まり
最後は気持ちを一つに今後の飛躍に向けて
来年のブロンズはだれの手に。おくには、シルバー、ゴールドメダルが。
(文 菅原理恵)
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